日本の空港を利用する度に、毎回感動する場面があります。
恐らくあまりに日常的になっているので、殆どの人は「何を今さら」と思われるかもしれません。
もちろん空港の職員の方々をはじめとして、皆さんそのホスピタリティーのレベルはとても高いのですが、私が今日お話ししたいのはリムジンサービス乗り場のスタッフの方のことなのです。

雨の日も、風の日も、どんな暑さや寒さの中でも、飛行機は容赦なく毎日大量の旅行者を運んで来ます。そしてそのうちの多くの人がリムジンバスを利用するわけなのですが・・スタッフの方々は、次々と重い荷物を持ってやって来る人々を、きちんと行き先・出発便順に列に並ばせ、同時に荷物を受け取り、控えとなる半券を渡しながら、その半券が荷物を受け取る時に必ず必要であることをリマインドして行きます。リムジンバスに全然関係ない質問にもきちんと答えたり、時には近くまで質問した人が迷わないように案内をしていったりもしています。そしてバスが到着すると、見るからに重そうなスーツケースの数々を実に手際よく、きっちりとトランクへ入れ、お客様をバスの中へとご案内するのです。
そしてフィナーレ。皆さん窓の外をご覧になったことがおありでしょうか。どんな状況でも、必ずバスの前に並んで、丁寧に90度のお辞儀で私たち乗客の出発を見送って下さっていることを?
誰が見ているのか見ていないのかも分からない状況で、決しておざなりではなく、毎回丁寧にお辞儀をして「いっていらっしゃいませ」と乗客を送り出すその姿に、私は毎回感動を覚えるのです。
一体世界中のどこの国が、これ程のホスピタリティーでお客様をおもてなしできるのだろうかと。

先日私が列に並びながらリムジンバススタッフの方々を見ていると、後ろからつぶやきのような声が聞こえました。
「オー・マイ・ゴッド・・」
振り向くと外国からの観光客らしきご夫婦が口をぽかんと開けてスタッフの様子を見ています。目が合った奥様のほうが話しかけて来られました。
「あの人たちはいつもあんなに親切なの?最後にお辞儀をしているのは、お見送りをしているからなの?」
すっかり嬉しくなった私が、そうです、いつもですよと答えると今度はご主人が、
「信じられない!話に聞いていたけど、一体何て国なんだ。素晴らしい!」
そうおっしゃったのです。その横の列ではアジア系の若いカップルが、スタッフの様子を写真で撮っていました。

これぞ世界に誇れる日本のホスピタリティーです。旅をしてきた外国の方々が、日本に降り立って、一番最初に接するサービスに感動して思わず見とれてしまう・・そんな場面を目にする度に、手を叩きながら大声で「ブラボー!」と叫びだしたくなります。
同時に、私たち日本人にとっては、「見慣れた風景」になってしまっていて、その暖かいおもてなしに十分に感謝をするのを忘れてしまっていることにも気付かされ、改めて、「サービスされる側の心構え」を考え直してみるのも良い機会だなと感じています。

こういう日本の素晴らしい部分を大切にしながら、世界に通じるビジネスのやり方を取り入れて行けば、この国のビジネスが更に発展していくのだろうなと、いつもしみじみと思います。

皆さんが次に空港にいらっしゃる際は、是非リムジンバススタッフの方々の素晴らしいサービスに目を向けてみてください。